今治のタオル産業が発展した1960年代、まだ大型乾燥機が普及していなかった当時は、タオルの原料である綿糸を輪状に束ねた綛(カセ)を染め、天日干しで乾燥していました。
そのため、市内の染色工場の周辺では、この写真のような綛の天日干しの光景がよく見られました。今治タオルの製法の特徴の一つである、先染め先晒しジャガード織りには、こうした綛染の技術が基礎となっています。
現在は機械化が進み、こうした光景はなくなりましたが、IMABARI Color Show 2023では、製品に利用されない色糸残糸を使って、この染色の歴史ともいえる光景の再現に挑戦しました。
雨が降り始めたら慌てて取り込む姿などを想像しながらお楽しみください。
愛媛県繊維染色工業組合が、今治の染色技術を紹介する取組みとして2017年からスタートした「IMABARI Color Show」。6回目の本年は、イオンモール今治新都市のSDGsのキャンペーンに協賛して、染色工程で不要になった色糸残糸や廃板を用いて、1960年代の染色工場の風景を再現するほか、ストリングアート体験やオープンファクトリーを実施します。
「1960年代の綛の天日干し」
綿糸を輪状に束ねた綛(カセ)。まだ大型乾燥機が普及していなかった時代、綛を染色した後は、天日で乾燥していました。そのため、各染色工場周辺では、綛を天日干しした光景が風物詩でした。
今年は、この天日干しの光景をイオンモールに再現します。あわせて、各染色工場の有志からなる実行委員会のメンバーと今治北高校生のデザインした天日干しのデザインもお楽しみください。
1Fインフォメーション横のPRセンターにて、染色技術の紹介や過去の取組み、映像資料等を展示します。ふわふわで吸水性の良いタオルが生まれる染色工程の様子をパネルにしました。
「色糸残糸と廃材のストリングアート」
色糸残糸と廃材を使って楽しい図柄や幾何学模様を作るストリングアート。釘を打ってある廃板に残糸をひっかけていくだけで美しい幾何学模様が出来上がります。
「オープンファクトリー2023」
実際に染色工場の中を見学できるファクトリーツアーを開催。
2015年に設立50周年を迎え、昭和40年の設立以来独自の技術で未来を拓く精神の元、蒼社川の伏流水を用いた染色技術を活かし、色や表情を加え時代に合わせて消費者のニーズに応えながら環境問題にも積極的に取り組み、今治の豊かな水との共存を図っている。現在8社で今治の染色産業を支えている。
左・中:様々な色に染められた糸(東洋繊維株式会社)右:糊付けされた生地を加工するための機械(西染工株式会社)
主催:愛媛県繊維染色工業組合
協賛:イオンモール今治新都市、IMABARI Color Show実行委員会
協力:愛媛県繊維産業技術センター、(株)藤高、(有)近藤木工所
後援:愛媛県、愛媛県教育委員会、今治市、今治市教育委員会、今治商工会議所、今治地域地場産業振興センター